結婚式には欠かせないブライダルヘアメイクさんのリアルな声を株式会社DREAT Creation代表の竹本実加さんに伺っています。
前編では、竹本さんがウェディングの道に進むまでや人気のヘアアレンジ、花嫁さまがやるべきケアのことなどをお伝えしてきました。
後編は竹本さんの信念や今後の展望などをお伝えしていきます。また、竹本さんご協力のもとおしゃれな花嫁さまのヘアアレンジも70選たっぷりご紹介します。
サービスの本当の価値は安心感を与えること
梶原:ヘアメイクのリハーサルはどのくらいやっていますか?
竹本:リハーサルは1回1日だけなのですが、何度も来てもらうのも大変なので。時間はご本人が納得するまで寄り添いたいので、3~4時間程度頂戴しています。
梶原:もともとドレスの試着の同行をやられていますよね。
竹本:はい、ドレスだけでなく、アクセサリーなども迷いがなく決まる!と言って喜んでいただく方が多くて私も嬉しいです。
梶原:そして昨年7月からは小物合わせにも同行されてますよね!
竹本:そうなんです!インスタグラムやSNSからの依頼の場合、リアルではないので人柄まで汲み取りきれないと思っていて、もしも私が花嫁だったら「リハーサルで初めまして」では不安が大きいと思ってしまいます。
小物合わせから同行させていただければどんな人なのか会って安心していただけると思いますし、こちらからもその花嫁さまがどんなテイストがお好きなのか理解した上でアドバイスさせていただけるので、実施することを決めました。
梶原:いやー、自分が「この人にお願いしたい」っていうヘアメイクさんに一緒にドレスショップに行って小物を選んでもらうって・・・相当楽しいし頼もしいと思いますよー。何より当日の自信につながると思います。
竹本:もうみんなで「どうするー?」ってキャーキャー言って(笑)。めっちゃ楽しいですね。
梶原:竹本さんもイメージは湧きやすくなりますか?
竹本:なりますなります!こういう感じが好きなんだーとか、同じ飾りでも付ける位置によって表情が変わる発見とかもあるのですごい面白いなぁって。
梶原:いいなぁ、あの頃そんなサービスあったらなぁ・・・(遠い目)。それも含めてのヘアメイクって素敵ですね。
竹本:特にブライダルの仕事は、働き方も”本物が選ばれる時代”になってくると思いますし、ブライダルヘアメイクのあるべきカタチもどんどん変わると思っています。
構想は色々ありますが、それを踏まえてこれからブライダル業界を目指して独立する事業者さんと花嫁さまを繋ぐ架け橋の様なプラットフォームを作りたいと考えているんです。
たとえば・・・たとえばですが、1回小物合わせに同行するサービスを作って良かったら受注してもらう、というものがあっても面白いなぁなんて思っているんですよ。
梶原:でもそれってお互いハッピーな企画ですよね。結局、信頼する人に良いって言ってもらえたことに安心感を得られると思うんです、特に日本人は。自分が好きだからコレにする!っていうより、自分が選んだものに対して少しでも多くの人に「良いじゃん!」って言ってもらいたい。
竹本:そうなんです。不安を解消するのが目的ではなく、絶対に幸せな一日にすることをお約束する仕事を作っていかなきゃいけないなと思います。
「花嫁さまが本当に欲しいのは安心感」
梶原:今、結婚準備中の花嫁・・・いわゆるプレ花嫁に向けた記事が沢山出ていますよね。これまでに興味深い記事をみかけたことってありましたか?
竹本:最近だと大手のアプリで配信されている情報に驚いていて。髪型とかヘアメイクの記事がアドバイスの記事よりも不安をどう解消するかというのが圧倒的に多いんです。リハーサルに行く前にやっていくことリストや、リハーサルを失敗しないためにといった記事が多い印象で。
梶原:うっ・・・はい。
竹本:リハーサルの時は髪をとかしていきましょうねとか、服装もドレスの白に近いものを着ていきましょうねとか、必ずイメージの切り抜きを持っていきましょうね、っていう内容なんです。
まだまだ、好みのヒアリングだけで「ただのヘアメイク」をしている技術者さんが多いと思っていて。もちろんセンスなどもありますが、全てを把握した上でひとりひとりに合わせた「ヘアメイクコーディネート」を提案してあげられていないから、花嫁さまとの意思の不一致や不安に陥ることが多いんですよね。
梶原:・・・こ、これって増えに増えた髪型系の記事に必ずと言っていいほど書いてあるんですよね。結局書く側も寄せ集めの情報になるので、私もそういう記事を作るとしたら情報の一つとしてきっと書いていたと思います・・・。
竹本:すべてが”初めて”の花嫁さまにとって、結婚式を迎えるにあたってこういう有益な情報はすごく丁寧で有難いと思います。でも逆に失敗しないか不安な気持ちを膨らませる要因にもなったりします。
ブライダルヘアメイクの技術者は花嫁さまの想いや背景まで汲み取ることが一番のお仕事ですので、私達には技術以上に、その見えない不安をプラスに変えてあげられる提案力が必要だと思っています。
梶原:なるほど・・・ということは実際記事の通りに花嫁さま側に準備をされすぎても信用度が低いと感じてしまう?
竹本:これから結婚式を挙げる私の友人がヘアメイクさんに「ヘアメイク指示書」っていうのを5枚くらい作ってたりして。初対面のヘアメイクさんにお願いするのは不安が大きいからだと思います。好みを知ってもらう為に細かく指示書を作る方もいらっしゃるみたいです。
梶原:5枚!?
菅野:あ、僕もありますよ。いろいろな雑誌の切り抜きを持って来ていただいて。このカットとこのカットが欲しいって。
梶原:カ、カメラマンも。
竹本:ありますよね。でもそこはこちらの提案次第で。私の場合は指示書をご持参いただいたら、”このヘアメイクの、どこのニュアンスが好きなのか”など、見せていただいた写真に対してピンポイントでヒアリングしていきます。その上で、ニュアンスを大切にその人に似合う髪型の提案をしながら進めています。
梶原:なるほど。
竹本:全く一緒のものを作ろうとするとお互いに迷走してしまうんですよね。
梶原:この指示書5枚まではいかなくてもちょっとした切り抜きでもプレゼンですよね。でも結局のところ、リハーサルはもちろん何よりもへメイクさんとの信頼関係が大切かと。
竹本:はい。やはりドレスの試着なり、小物合わせなり、一回お会いして花嫁さまの気持ちを直接探るっていうのはすごく大切だと思うんです。とにかく、”みなさん安心したい”という花嫁さまの心情をヘアメイクは理解する必要がありますね。
梶原:ブライダルのヘアメイクさんのお仕事って、もう技術があるだけじゃ選ばれないんですね・・・。
竹本:そうなんです!そこはもうヘアメイクに向けて書いておいてください!(笑)
ヘアメイクの新しいジャンルを作りたい。
梶原:ウェディング業界に本格的に足を踏み入れてから1年ちょっとですね。遠回りしてきたからこそ見えるものがあると思うのですが、これから新たにやっていきたいことってありますか?
竹本:私・・・ヘアメイクの新しいジャンルを作ってみたくて・・・「ブライダルドレッサー」っていうジャンルを確立していきたいんですよ。
梶原:ん!?お初なワードです。
竹本:ですよね。まだ(仮)なんですが。今やっているドレスの試着に同行するとか、小物合わせに同行するっていうのが意外と需要があるのが分かって。どこもやっているところがないし、ドレスショップの方にも「初めて来ました、ヘアメイクさん!」て言われるところがほとんどなんですよ。お母さんとか彼氏はいるけどって。
それにドレスショップの人たちってドレスが大好きで知識も豊富で。ドレスを触る時に必ず手袋をしてを宝石と同等に扱ってるんです。何十万何百万というものなので。そういう認識が会場に入るヘアメイクさんて少なくて、洋服としてドレスを着せてるところに疑問を感じていて。そういうのを分かっていないと絶対にいけないと思うんです・・・ブライダルでやっていくってなったらそういう専門外の知識もないとやっていけないと思うんですよ。
梶原:なるほど。ウェディングのヘアメイクはトータルで知識を持っていないと務まらない。
竹本:そうなんですよ。それにそういう知識がないと髪型だけうまくても頭が大きくない?みたいなことになってしまうんですよね。バランスが考えられない。日頃からトータルコーディネートとして見ていくブライダル専門のヘアメイクっていうジャンルが確立されてないなって。ヘアメイクでも、メイクアップアーティストとブライダルドレッサーってジャンルが全然違うんですよ。
梶原:ブライダルドレッサーという肩書き、安心感半端ない!あ、竹本さんはアテンドとかもされるんですか?
竹本:もちろん。全部やります。フィッティングも。おっぱい盛りますよ。(笑)
梶原:マジですか(食い気味)。でもおっしゃる通り、ブライダルのヘアメイクさんって本来はトータルで考えられる人であるべきなのかなぁと。そこに気がついてる人は沢山いてもそれを行動に移す人ってなかなかいないですよ。もうめっちゃ応援してます。
竹本:ありがとうございます!結婚式の準備中も本番も花嫁さまの一番密に近くでコミュニケーションをとっているのってヘアメイクなので・・・とにかくトータルでサポートしたいんです。一年後くらいには形になっているように頑張ります!またインタビューして欲しいです。
梶原:ほんとですか!?嬉しい目標だ・・・是非またインタビューさせてください。それからハッシュタグ流行らせましょう、ブライダルドレッサー!
過去のキャリアも未来に必要なチカラ。諦めない女性の新しい働き方
梶原:ヘアメイクさんって、体力的にも内容的にも継続していくには大変なお仕事だと思うんです。竹本さんには新しいヘアメイクのジャンルのみならず、女性としての新しい働き方も確立して欲しいなって個人的に思ってます。
竹本:ありがとうございます!
梶原:私みたいにウェデイング業界で在宅をやっているのもまだまだ珍しくて。それにウェディングに関わるお仕事って現場シゴトで基本的に土日がメイン、しかも身体が資本の仕事じゃないですか。
竹本:現場シゴトは「身体が資本」本当にその通りで。自分が体調を崩したら何も出来ないですし、ご指名いただいたなら余計、変わりが絶対にいない仕事です。女性は将来や家族のことも考えなくてはならないですよね。
梶原:とくにウェディング業界って、結婚したら・・・子供ができたらおしまいって諦めちゃう人多いですよね。次のステップに行けるならいいのですが。女性も働く時代って言われていますがやっぱり難しい部分も沢山感じるので、女性がやりたいことを最前線でやり続けるって相当な覚悟も必要なのかなって。
竹本:そうですよね。でも在宅のように現場シゴトではなくても、自分の今までのキャリアを活かせるシーンて沢山あると思うんです。そして、そのキャリアを必要とする人や企業は沢山あると思います。
梶原:一度経験した仕事のキャリアを認めてくれて、しかもそういう人が欲しいって言ってくれる会社があるって本当に素晴らしいことだと思うんです。そういう声を挙げる企業が増えていけば、もうちょっと欲張りながら生きていけるのになぁ。
竹本:そうですね。そういう難しい課題ですが、そこも変えていけたらなぁって思います。
竹本実加さんが今、選ばれる理由
梶原:技術者ってちょっとツンツンしてプライドが高いっていうイメージが先走りがちだったんですけど・・・私みたいなペーペーは。
竹本:クリエイターじゃないですか。だからある程度自分から提案するものを持っていなければいけないと思うんですけど、でも固定概念を外すことも大事で。やっぱり評価って私が決めることではなくお客様が決めることなんです。その人が人生で一番いい日だったって思えるのが正解なので。そこに自分がどれだけ手をかけてあげられるかというのと。その中で自分の感性をどれだけ最大限生かせるかにコミットしています。
梶原:竹本さんにとっては大勢のお客様の一人だけど、花嫁さまにとっては一生に一度っていう結婚式の中で、そういう花嫁さま側の気持ちに一人一人寄り添ってるなって、竹本さんのインスタやスタイルブックからも伝わってきます。
菅野:一緒に仕事したいって思いますもん。
梶原:すっすげの・・・
竹本:嬉しい!
梶原:竹本さんの中に確固たる信念やとてつもない前向きなパワーがあるのがすごく伝わるんですけど、話したいとか聞いてほしいと思わせてくれる柔らかな人柄も選ばれる理由なんだと思います。前のめりでインタビューしてしまってすみません。(笑)
竹本:いえいえ、ありがとうございます!今回のインタビュー、本当はブライダルのお仕事に憧れている方や、ブライダルヘアメイクの方にも届いて欲しいんです。ヘアメイク業界に少しでも響いて変わっていって欲しいですし、寄り添ってくれる素敵なヘアメイクさんも多いですよってプレ花嫁さまにも安心してもらいたい!
ダメ押しで美女とスイーツの絶景をもう一度
花嫁さま一人一人と全力で向き合い、そしてウェディングのヘアメイクという仕事を愛して止まない竹本さん。
結婚式はお披露目ではなくオモテナシへと意識が変わり会場選びや会場装飾、料理からプチギフトまで、質や自分らしさにこだわるカップルが多くなってきました。そんな中、現場で働く竹本さんにインタビューをして気がついたのは、
「結婚式は人生最高の私になりたい」
というのがこれまでもこれからも花嫁さまにとって変わらない本音であること。でも、リアルを求めて、本物を求めて皆が見てるものは実はリアルじゃない。そこに危機感を感じ、とにかく花嫁さまと会いたがっている竹本さんのようなヘアメイクさんは確実にいます。一生に一度の晴れの日をこの人に任せたい、と心から安心できるヘアメイクさん・・・いやブライダルドレッサーが見つかりますように。
ヘアメイクという仕事を笑顔で楽しむ竹本さん、素敵!
やっぱり素敵だねって褒められたい!花嫁さまのおしゃれな髪型70選
誰からも褒められる結婚式のヘアスタイルを見つけるには・・・?実際Instagramでいいね!がたくさんついている髪型やおしゃれに加工された写真があなたに一番似合うとは限りません。今回インタビューをさせていただいた竹本美加さんご協力のもと、花嫁さまに似合うおしゃれな髪型・ヘアアレンジをなりたい花嫁さま別にボリュームたっぷりにご紹介していきたいと思います。ぜひ参考にしてみてくださいね!
【エレガント】華やかで気品ある、大人ウェディング
上品でありながらラグジュアリーを叶えるエレガントスタイルは、ホテルのような重厚感のある空間にぴったり。ラインが綺麗なドレスやキラキラのビジューモチーフが似合うスタイリングにおすすめです。
こんな花嫁さまにおすすめ!
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【フェミニン】女性の魅力を引き出す、柔らかなスタイル
空気感と抜け感を大切につくるヘアスタイルは女性らしさを最大限に引き出します。チュールやプリンセスライン等のボリュームあるドレスにぴったり。お洒落なゲストハウスやガーデンウェディングなどにおすすめしたいスタイルです。
こんな花嫁さまにおすすめ!
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【レディ】お洒落な女性の甘すぎないスタイル
人と被らないお洒落さで、エレガントさも可愛さも大切にしたい。そんな欲張りを叶えるヘアスタイルを「レディ」と呼んでいます。女性らしく、でも甘すぎないのがテーマ。どんなドレスとも相性がいいのも魅力です。
こんな花嫁さまにおすすめ!
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【モダン】都会的でシックな、大人のスタイリング
洗練された装いの中にちょっぴりエッジを効かせるモダンなスタイリングはゲストの目線を惹きつけます。海外ウェディングのようなテイストを捉えつつ、新しさやイマっぽさを叶えます。
こんな花嫁さまにおすすめ!
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(写真・文章協力:全て竹本実加さんスタイルブック・Instagram)