日本伝統の美しさを見直され、人気を集めている和装婚。
伝統的な婚礼衣装である白無垢や色内掛。
特に白無垢は和式の挙式のみに許される衣装です。
日本人として生まれ、日本ならではの伝統衣装で門出の日を迎えたい!
というのはごく自然なことです。
でも、花嫁さんにとっては和装ならではの耳慣れない言葉や衣装選び、立ち振舞いなどたくさんあり、「憧れるけど大変なのでは?」と思ってしまいますよね。
そんな不安や疑問を少しでも解消できる情報をお伝えできればと思います!
和装での3つの挙式スタイル
和婚(和装結婚式)とはそもそもどんな結婚式なのでしょうか?
和婚とは、、、
・和服を着用する
・日本料理を取り入れる
・和風のコーディネートにする
・神社や神殿での神前式、寺院等で行う仏前式などの挙式スタイルにする
つまりは、幅広い範囲で「和」を取り入れたウェディングの総称とされています。
まず知っておきたいのが、「和装での挙式スタイルってイメージは出来ても、どんなものがあるの?」ということですよね!
和装での結婚式は以下の3つの挙式スタイルがあります。
(1)神前式
(2)仏前式
(3)人前式
神前式と仏前式は宗教挙式であり、決まった所作をこなします。
一方、人前式は挙式スタイルも婚礼衣装も新郎新婦で自由に決めることができます。
最近の和婚ブームの流れからか、人前式でも和装を選ぶ新郎新婦が増えているようです。
(1)神社挙式(神前式)とは
神前式とは、神社や神殿などの神前でおこなわれる挙式スタイルです。
古来より愛されてきた神々や、その土地を守る神々におふたりの愛を誓い合います。
神道をベースに、大正天皇の結婚式(当時は皇太子)を原型として、その後民間に広まっていきました。
神前式は必ずしも神社だけではなく、ホテルや結婚式場など神前式の結婚式を挙げられる場所が会場として選べます。
(2)仏前式とは
仏前式は、一度結婚すると来世でも縁が結ばれるという仏教の教えに基づき、新郎新婦が仏の前で来世までの結びつきを誓います。
また、祖先に結婚の報告をし、2人のめぐりあわせを仏に感謝する儀式です。
仏教の宗派によって少し違いはありますが、本尊の前で夫婦の誓いをかわし、念珠(記念の数珠)を受けて焼香し、三三九度の盃をかわすところは共通しています。
神前式と比べると少数派であるため、ホテルや専門式場では仏前式に対応してくれるところは少ないです。
両家のどちらかが属している寺院や先祖代々の菩提寺で行われることが多いようです。
参列者は数珠を持参します。
(3)人前式とは
出典元:zexy.net
人前式は、結婚の誓いを神仏に対して行う代わりに、両親やその他の親族、親しい友人などゲスト全員に結婚の証人となってもらう挙式スタイルです。
そのため、宗教や格式を気にする必要がないため、式をする場所や進行、演出など自由に決めることができるのが特徴です。
和装婚での新婦の衣装
日本の民族衣装である着物。
古式ゆかしい和の挙式といえば、やっぱり白無垢が定番ですよね。
とはいえ、艶やかな着物も一度は着てみたい。そんな花嫁さんは披露宴のお色直しや前撮りに色柄入りの着物を取りいれることが多いようです。
結婚式にまつわる着物にも、ドレスと同じようにさまざまな種類があります。
自分の好みや会場の雰囲気などに合ったものを選びましょう。
(1)白無垢
出典元:kyoto-wakon.watabe-wedding.co.jp
武家社会の流れを汲む婚礼のための正礼装。
汚れのない白は花嫁の無垢な純真さを表し、「嫁ぎ先の家風に染まる」という意味から、打掛けから掛け下、帯や下着、小物まで、すべてを白で統一した、もっとも格式の高い花嫁衣裳です。
印象深い綿帽子の組み合わせができるのは白無垢を着たときだけです。ほかの着物に綿帽子は合わせられないので注意!
角隠し+白無垢の組み合わせはOK!
(2)色打掛
打ち掛けは室町時代以降の武家女性の礼装とされていました。
色鮮やかな下地に縁起のよい文様と刺繍をほどこした色打掛は、挙式にも披露宴にも取り入れやすいのが特長。
白無垢と同格の正礼装なので、文金高島田+角隠しをつけて挙式で着用することもOKですが、挙式は白無垢、パーティや披露宴で色打掛にすることが多いようです。披露宴やお色直しのときは、モダンな洋髪を合わせるのがオシャレ。最近はオーガンジー素材などの種類も急増!
(3)引き振袖
花嫁ならではの引き振袖(振袖の裾を引いた振袖のこと)は人気です。
振袖は未婚の女性の第一礼装。式が終わったらミセスになる花嫁にとっては、振袖を着る最後のチャンスです!
お色直しで着ても素敵ですが、角隠しをつけて挙式、洋髪にチェンジして披露宴というのも人気です。
(4)黒引き振袖
出典元:beautybride.net
もともとは江戸時代の武家の娘の婚礼衣裳として用いられていた正式和装で、昭和30年ごろまでは最も多く着られていました。
振袖の中で最も格式が高く、クラシックな雰囲気と凛とした立ち姿が魅力的!
近年、再び注目を集めています。
(5)十二単衣
平安時代以来の貴族の正装。
単(ひとえ)と袴の上に、桂(うちぎ)を重ねて着たことが由来でこの名称に。
男性は衣冠束帯を着用します。
日本人の繊細な感性を表現した襲色目(かさねのいろめ)の美しさはゲストの目も楽しませてくれるでしょう。
(6)新和装
出典元:zexy.net
伝統の和装をモダンにアレンジした新しい感覚の着物。
伝統的なカッチリとした着物だと自分に似合うか分からない、もしくは抵抗があるけど和装にも挑戦してみたいっという花嫁にはオススメです!
オーガンジーやサテンなどの素材を使った自由で斬新な新和装は、洋風の会場にも合います。最近では、雑誌やインターネットでも多く取り上げられているので、気になる花嫁はチェック!
ここで和装のブライダルインナーについて少しお伝えしておきます!
和装にも決められた下着があります。
場合によっては、自分で用意しなくてはいけないものもあるので、事前の確認が必要です。衣装店でも購入できます。
自分で用意するインナーの代表例
・直接肌にふれる肌襦袢(はだじゅばん)
・ストッキング
・足袋
・腰ひも
・帯板
・着付けに使う小物類
吉祥文様って何?!
「吉祥文様」という言葉を聞いたことがありますか?
まず吉祥とは、おみくじには大吉、中吉、小吉などありますよね。その大吉の上の大大吉
というほどおめでたい意味があります。
文様はなんとなくイメージ出来るかと思いますが、着物の生地にほどこした図柄や刺繍のこと。着物の模様と理解しておけばOKです!
つまり吉祥文様とは、おめでたい着物の柄のことです。
衣装が決まったら、どんな文様(柄)の着物がいいのか、自分に似合うのか…
そんな時にどんな種類の文様があり、文様がもつ意味を知っていると、衣装を通して自分の想いも伝えられます!
そして着物の美しさには、その着物の文様もあるので、文様選びも実はとっても重要です。
それでは吉祥文様の一部を紹介していきます。衣装選びのポイントにもなるので、気に入ったものが見つかるといいですね!
(1)鶴
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「鶴は千年、亀は万年」といわれるとおり、長生きの象徴ともいえる瑞鳥。
生涯つがいで生活することから、夫婦睦まじい老境の象徴。
(2)鴛鴦文(えんおうもん)
一度つがいになると、仲睦まじく生涯
添いとげるという鴛鴦(おしどり)が
永久の愛の象徴。
(3)鳳凰
中国の伝説上の生き物とされ、平安な治世や優れた知性を持つ人が生まれると姿を現す五色の霊鳥。
飛鳥時代から用いられており、華麗で格調の高い文様。
(4)花車紋
松竹梅、菊、牡丹など吉祥文の花々を車に満載し、幸せに満ちた様子を表現した文様。
(5)貝桶
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江戸時代に流行した「貝合わせ」という遊びの道具。
ばらばらにした蛤の貝殻の中から一対の貝を当てる、ということと運命の相手(新郎)に巡りあえた花嫁をなぞらえています。
(6)松竹梅
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四季を通じて緑濃ゆく美しい松と、青々とまっすぐ伸びる竹、寒さの中からいち早く花を咲かせる梅の三つを組み合わせた慶事の象徴。
(7)檜扇
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平安時代の姫が身につけた檜の薄板で作られた扇。
その雅な美的センスもさることながら、先端が広がった形から将来の展望が広いことも表されています。
(8)丸文
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円の形は無限を表す縁起の良い文様。
「円=縁」につながることからも花嫁衣装によく用いられます。
和装小物について
出典元:nihon-kekkon.com
和装の場合、ドレスと同じように専用の小物がたくさんあります。
ドレスの場合は、なんとなく分かっていても、和装はどれも聞いたことのない、馴染みのないものが多く何が必要なのか分かりませんよね?
今では装飾的に使われていますが、そのほとんどが江戸時代には実用品だったもの。その意味を知っていれば、それを装って嫁ぐ日の特別感も格別!
ここでは花嫁の3つの和装に合わせる小物の特徴と、代表的な和装小物を紹介します。
(1)白無垢に合わせる小物
白無垢を着る際の小物類は白で統一するのが基本です。
中には白地に金や銀の刺繍で柄を織り出したものや、袖口や襟の縁等に赤・ピンクの生地をアクセントに入れた華やかな白無垢や小物もあります
(2)色打掛に合わせる小物
華やかな色合いの刺繍が施された小物を合わせることができます。
(3)引き振袖に合わせる小物
目を引く色や凝った刺繍、染め柄など、華やかな色合わせでのコーディネートも楽しめます。
・懐剣(かいけん)
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帯にさす短剣のことです。
かつて武家に生まれた女性が、「自分で自分の身を守る」ために護身用に短刀を所持していたことから、今でも用いられています。
・帯締め(おびじめ)
金銀を織り込んだ「丸帯」の上から、帯を固定するためのものです。
結婚式では「丸ぐけ」(綿が布のなかに包まれたもの)を使用します。
・末広(すえひろ)
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扇子のことです。
先に向かって次第に広がっていく形から、将来にわたる結婚生活が末広がりに幸福と繁栄に恵まれるように…との願いが込められた縁起ものです。
・草履(ぞうり)
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どの衣裳にも合わせられる白や、金や銀・赤等、衣裳に合わせて選びます。
白無垢には必ず白の草履を合わせますが、引き振袖には色柄の草履を合わせるのがトレンド!
草履のかかとの高さは2~12㎝と幅があります。新郎新婦の身長差に合わせて調節しましょう。
高さのあるほうが華やかになりますが、多少歩きにくくなることも。必ず試着して確認しておきましょう。
・箱迫(はこせこ)
胸元の合わせに差し込まれる房と刺繍のついた箱状の装飾品。 江戸時代は武家の未婚の娘の実用品で成人女性の印でもありました。
本来はくしや鏡など小物を入れるものですが、打掛等では華やかな刺繍が施され、装飾的な意味合いが強くなっています。
・抱え帯
帯の下の位置に結ぶ細い帯のこと。
お引き摺りの裾の長さを調節するためのものです。
江戸時代、上流階級の女性は家の中では長い裾を引きながら歩きましたが、外出の際は裾を紐で抱え上げて歩いていました。
その紐をいつしか抱え帯と呼ぶようになり、花嫁衣裳の必需品になりました。
帯に合わせて色や柄を選びます。
・髪飾り(かんざし・こうがい)
出典元:azm.shop-pro.jp
日本髪を飾り立てる時に活躍!
さまざまな素材や色柄があり、そこに施された細工にも手が込んでいます。
挙式と披露宴で替えることが多いです。
挙式では気品のあるシルバーやべっこうを、披露宴では華やかにゴールドや真珠製のものを選ばれやすいです。
新郎の和装
花嫁は白無垢、色打掛…など衣装は艶やかで、選ぶのにもどれにしようか迷ってしまい、心おどる結婚式の重要なアイテム。
それにひきかえ、どうしても二番手になりがちなのが、新郎の衣装。
タキシードではなく和装の場合、着慣れないこともあって衣装選びに積極的になれないのが現状ではありませんか?
そこで、新郎の和装について、おさえておきたいポイントをご紹介します!
(1)衣装「黒五つ紋付き羽織袴」
和装の場合、男性の正礼装を「黒五つ紋付き羽織袴」と言います。
これが呼びやすく短縮されて「紋付袴」と言うようになりましたが、同じことをさしています。
よくある婚礼衣装のイメージそのままだと思います。
新婦が打ち掛けスタイルであれば、新郎は紋付袴を。
羽織とその下の着物は黒色、羽織のひもは白にします。
この時、紋は白く染め抜いた五つ紋を入れるのが、最上の格になります。
袴は仙台平または博多平の黒か茶の縞のものを着用。
帯は角帯、白い扇子を持ち、半襟、足袋も白、ぞうりは畳表で鼻緒が白いものが正式です。
最近は、茶やグレーなどの色物や白い羽織も人気があるようですが、これらは略式の礼装になります。
出典元:www.tagaya.co.jp
(2)「紋付袴」を選ぶときのポイント
基本的には、家紋を間違えなければ、形や色に違いがないので問題はないのです。
ただ気をつけるべきは、新婦の衣装と格を揃えること!
新婦が正礼装である白無垢、色打掛、黒引き振袖、本振袖の場合は、新郎も正礼装である「黒五つ紋付き羽織袴」になります。
それ以外の振袖などを着る場合は、まず新婦の衣装の格を確認し、それに合わせた略礼装を考えましょう。
ちなみに、男性の略礼装は「色紋付袴」。
羽二重・紋綸子・縮緬の素材に白・グレー・茶・紺などの色がついているので、個性を発揮することができます!
(3)新郎の和装で必要なもの
新郎も、新婦と同じように和装を着付けるときには必要なものがあります。
自分で用意するかどうかは、会場によって異なるので、事前に確認しておきましょう。
・肌着
・襦袢
・半襟
・裾よけ(またはステテコ)
・足袋
・扇子
・体型補整のためのタオルや綿
まとめ
いかがでしたでしょうか?
和装の衣装や小物はやはり聞きなれない言葉が多くあったのではないでしょうか。
また挙式スタイルにもルールがあるので、あらかじめ知っておくと打ち合わせでも話がスムーズに進みますよね。
和装を知れば知るほど心ときめくものがあります。小物や文様ひとつひとつにも意味があり、選ぶのにもつい力が入ってしまいそう。
大事なものを決めるお手伝いになれたら嬉しいです!
そして、和婚にはまだまだ知っておきたい基礎知識があります。
例えば髪型やブーケ・立ち振舞いなど、和装ならではの花嫁をさらに美しくしてくれるアイテム。
それについては「人気急上昇の和装で結婚式をあげたい!を叶える基礎知識②」で以下の内容でお伝えします。
1、和装ヘアスタイル
2、人と差をつけるヘアアレンジ
3、和装ブーケ
4、和がモチーフのリングピロー
5、気をつけたい立ち振舞い
6、オススメの和風プチギフト
合わせて読んでいただけると、和婚にさらに興味がわくはず。