二人の結婚の意思が固まったら、その約束を正式なものにするためにも、結納もしくは両家顔合わせ(食事会)をすることをおすすめします。
住んでる地域あるいは家によってしきたりや考え方もさまざま。それぞれにしこりを残さないよう、双方の意見を聞いて準備をしていきたいものですよね。
では結納と顔合わせの違いは?準備の仕方は?進行は?服装は?・・・考えれば考えるほど、調べれば調べるほど疑問が増すばかり。
今回は一般的に伝えられている内容をご紹介しますの。地域・宗派などにより風習の違いや解釈の違いもありますのでご了承ください。
結納と両家顔合わせの違い
結納?両家顔合わせ?みんなはどうしてる?
では実際みなさんどうしているのでしょうか?
地域によって差はありますが、首都圏では「両家の顔合わせのみ行った」カップルが75.5%と現在では両家顔合わせ(食事会)のみを行うカップルが増えているということです。しかし、九州エリアでは、「結納」を実施したカップルが45.9%で、約半数のカップルが実施しており、地域によって、実施状況が違っています。
(リクルート ブライダル総研調べ)
どんなスタイルで婚約をするのか。これは一般的には親の意向(とくに彼女側の親)を優先するものなので、両家の親に必ず相談することを忘れないでくださいね。
それではまず、「結納」について具体的にご説明していきたいと思います。
結納の歴史とその語源
出典元:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E6%AD%A3%E5%A4%A9%E7%9A%87
(大正天皇)
結納のもともとの形は仲人が使者となり、両家の間を往復して結納品を収めるというものでした。
結納が一般化したのは大正天皇(当時は皇太子)の結婚を庶民が真似てから、と言われています。しかし、結納そのものの歴史は古く、人徳天皇時代までさかのぼるそう。
語源については諸説あります。
・「ゆきひも」が語源とする説
両家を結びつけるという意味の言葉が語源という説。
・「結いのもの」が語源とする説
新しい縁結びを祝う会食の際の縁起物や酒肴、男性側から女性側への持参品などを意味していたという説。
・「言い入れ」が語源とする説
結婚の申し入れ(言い入れ)を意味したという説。
結納品について
結納品とは昔ながらのいろいろな縁起物をあつめたもの。
結納のときに両家で取り交わす(贈る)ものとして一つ一つに意味があり、関東では次の9品目を白木台の上に乗せたものを正式な結納品としています。
(1)目録(もくろく)
結納品の品名や数を記したもの。二人の名前と日付を記入する。
(2)金包(きんぽう)
結納金のこと。男性から女性へは「御帯料」、女性から男性へは「御袴料」となる。
(3)長熨斗(ながのし)
アワビの肉を干してのばしたもの。長寿・不老の象徴。
(4)末広(すえひろ)
純白の扇が2本1組になっているもの。「末広がりに、長く家系が栄えるように」の意味をもつ。
(5)寿留女(するめ)
するめのこと。日持ちのいい食材であることから「長い家庭円満」の意味をもつ。
(6)勝男武士(かつおぶし)
かつお節のこと。背節と腹節で1組。男性の力強さの象徴。
(7)友白髪(ともしらが)
白い麻糸。「ともに白髪になるまで仲良く」の意味をもつ。
(8)子生婦(こんぶ)
こんぶのこと。2枚1組。繁殖力のある昆布に子孫繁栄を願う。
(9)家内喜多留(やなぎだる)
祝い酒を入れる朱塗りの柳樽。最近では現金を包むことが多い。
また、さらに以下の3つを加えます。
・家族書・親族書
家族書は本人と同居し、同じ姓を名乗る人を記入。親族書は3親等くらいまでの親族を御記入。
・受書
結納品を確かに受け取ったと示す物。目録と同様、二人の名前と日付を記入する。
・婚約記念品・結納返し
婚約記念品は結納の儀式とは別にお披露目するもの。やはりダイヤのリングが圧倒的に多い模様。結納返しは彼女側から彼側へのもの。関東では半返しが多い。
注意してほしいのは、地域によって大きくしきたりの違いがあるということ。大きく異なるのは関東式と関西式。関東式は彼側と彼女側の双方で結納品を準備するので「結納を取り交わす」といいます。反対に関西式では彼側から彼女側に贈るのみなので「結納品を贈る」と言います。
略式結納について
略式結納とは仲人を立てずに、新郎側が新婦側の自宅を訪問し、両家揃って金品を贈る儀式を「略式結納」といいます。結納品の数を減らしたり、目録と受書のみを交わして形式上の結納を行うこともあります。
例えば、関東における簡略化した結納品は3品目の場合「目録・金包・長熨斗」となります。5品目の場合は3品目に「友白髪・末広」を追加、7品目の場合はさらに「寿留女・子生婦」が加わります。
結納品は用意せずに結納金のみを交わす場合も。どの部分を略すかは両家でしっかり相談しましょう。ただし、しきたりにこだわる人が家族の中にいる場合は一通り揃えるのが無難ですね。
略式結納といっても現在結納では主流な形式。
結納品や品目数は地域によって異なります。両家の考え方や住んでいる地域の慣習、予算も考慮していきながら決めていきましょう。
また、品目数は「二つに別れない」という理由から必ず奇数にするということに気をつけましょう。
日取りについて
日取りに関しては「仏滅ではない土日」もしくは「出席者全員の都合を優先した日」を選ぶケースが主流となっているようです。
しかし大安や友引にこだわる親ももちろんいます。日柄は六輝にもとづいて決められるもの。以下にまとめてみました。
大安 |
「大いに安し」という意味。六輝の中で最も吉の日とされ、お祝い事に最適な日。1日中、吉。 |
友引 |
「友を引く」ということからお祝いごとには好適な日。午前と午後、吉。正午は凶。 |
先勝 |
「先ずれば勝つ」という意味。急ぐことが良いとされる日。午前、吉。午後、凶。 |
先負 |
「先ずれば負ける」という意味。控えめに過ごすのが良いとされる日。午前、凶。午後、吉。 |
赤口 |
午前と午後、凶。正午のみ、吉。お祝い事は正午をはさんで行うと良いと左れる日。 |
仏滅 |
昔は「物滅」と表記された。六輝の中で最も悪い日とされ、お祝いごとには不適。1日中、凶。 |
一般的にもっとも縁起が良いとされる日が大安。二人が日柄にこだわらないという場合でも親(もしくは仲人)の意見に合わせるのが◎。せっかくのおめでたい席、みんなが気持ち良くいられる配慮も必要です。
服装について
以前は準礼装にするのが一般的でした。最近では略礼装もしくは平服で行う場合も少なくありません。基本的には出席者全員が同格の服装をしていれば問題ないとされています。
男性のフォーマルウェアに関しては結婚式のウソ?ホント?新郎の衣装は披露宴の時間帯で決めるのかの記事も参考にしてみてくださいね。
一般的にどのようなスタイルにしているのかをまとめてみました。
男性 |
女性 |
|
準礼装<洋装> |
ディレクターズスーツやブラックスーツ |
昼:セミアフタヌーンドレス 夜:セミイブニングドレス |
<和装> |
着用する人はほとんどいない |
振袖や訪問着 |
略礼装<洋装> |
ブラックスーツやダークスーツ |
スーツやワンピース |
<和装> |
着用する人はほとんどいない |
振袖や訪問着 |
男性の衣装の格に合わせるのがマナーとされていますが、写真写りや相手の親御さんへの印象を配慮して男性が洋装でも振袖を選ぶ女性も多くいます。(振袖は結婚前の女性しか着ることのできないものですからね。)
兄弟や姉妹が出席する場合は当人たちに準じたあまり目立たない服装を。
また、格式のレベルや時間・会場によって、服装に気をつけるといいですね。
開催場所について
結納の開催場所についてはほとんどが「妻の家」・「ホテル」・「料亭」を選んでいるようですが、地域性が大きく現れる部分となっています。
「結納」の地域性は、「結納」の実施場所にも表れており、首都圏エリアで、最も「結納」が実施された場所が『ホテル』の29.8%であったのに対し、
九州エリアでは、『妻の家』での実施が42.0%と圧倒的に多く、結婚する際には『妻の家』で「結納」を行う、という文化が根付いている様子が分かります。
(引用:リクルート ブライダル総研調べ)
また、近年では結納品の準備ややり方についても教えてもらえる結納プランのある会場を選ぶ人が増えているようです。
結納チェックリスト:準備編
(1)どのような形式にするか
仲人を立てないやり方が一般的になったとはいえ、しきたり等は地域によって異なります。まずは双方の親と相談し、彼側と彼女側のやりかたが異なる場合はしっかり話し合いを。
(2)日時と場所を決める
日取りは、当然ながら本人同士と両家の親全員の出席が大前提。(仲人を立てる場合は仲人の都合や意見も聞く)また、結納のようなおめでたいことはなるべく午前中に始めるようにします。終了後は交流を兼ねて両家で食事を行う流れがほとんどです。
※日柄に関しては上の【3、日取りについて】を参考にしてみてください。
(3)結納金や結納品の数を決めて準備をする
結納品は何品用意するのか、また結納金の金額も相談しましょう。
(4)服装を決めて準備をする
服装は本人同士はもちろん、双方の親も格が合うように事前に決めておきましょう。
(5)当日の流れと口上の内容について確認
結納には儀式中に述べる「口上」という進行のセリフがあります。事前に確認しておきましょう。また、ホテルや料亭で結納を行う場合、当日誰が支払いをするのか決めておくのも大切です。
結納チェックリスト:当日編(略式結納)
(1)結納品と受書を床の間もしくは飾り台に並べる
男性側→女性側の順に部屋に入り結納品を飾る。
(2)両家着席
最初に本人同士、次に両親が「本日はよろしくお願いします」といった挨拶をし、着席(着座)する。
(3)彼側の父親が始まりの挨拶をする
仲人のいない略式結納では、彼側の父親が進行役を勤めるのが一般的。
「この度は大変結構なご縁をいただきまことにありがとうございます。これより結納の儀をとり行わせていただきます。本日は略式にて納めさせていただきます。」
(4)彼側が結納品を納める
彼側(父親もしくは母親)が結納品(もしくは目録)を彼女側へ差し出し、口上を述べる。
「◯◯家からの結納の品でございます。どうぞ幾久しくお納めください。」
(5)彼女側が目録に目を通す
彼女が一礼して目録に目を通し、父と母にも回す。彼女(もしくは彼女の父親)が口上を述べる。
「ありがとうございます。ご結納の品、幾久しくお受けいたします。」
(6)彼女側が受書を渡す
彼女の母親(もしくは父親)が彼本人に受書を差し出す。「これは受書でございます。 どうぞお納めください。」と述べ、彼の父親が「ありがとうございました。確かに頂戴致しました。」と述べる。
(7)婚約記念品を交換する
婚約記念品があれば、この場でお披露目もしくは交換する。
(8)彼の父親が結びのあいさつをする
彼の父親が「本日はまことにありがとうございました。略式ながらとどこおりなく結納を納めることができました。幾久しくよろしくおねがい申し上げます。」と述べる。そのあと彼女側の父親が「こちらこそありがとうございました。今後ともよろしくお願い申し上げます。」と述べる。
(9)記念撮影
会場の人にお願いをして華やかな結納品を前に記念撮影をすることをおすすめします。写真は結婚式の際にプロフィールビデオに使ったり、ウェルカムスペースに飾ったりしても。
(10)祝宴
彼女側が彼側をもてなすのが基本。ホテルや料亭で行う場合は事前にコース料理を頼んだり、自宅なら仕出しや手料理を用意します。支払いは彼女側がするのが一般的です。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
日本の伝統的な儀式である結納。そのスタイルは長い時間を経て少しずつ変化してきました。どんなスタイルになろうとも大切な儀式には変わりありません。
いろいろな手間や費用の面から結納を選ぶ人が少なくなってきたのは事実。しかし、結納という伝統的な儀式をすることで結婚に向けて改めて身が引き締まるのではないでしょうか。