結婚式の費用は10年前と比べて33万円ほど上がっています。
(リクルート ゼクシィ結婚トレンド調査)
2014年の挙式、披露宴、披露パーティ総額は333.7万円。
なぜ結婚式の費用はこんなに高いのか、これから結婚式を挙げる新郎新婦は一度は気になるはずです。
今回はその原因について書いていきたいと思います。
結婚式の費用が高い3つの原因とその問題点
(1) 一般的に見て、超高額な中間マージンの存在。
(2)ご祝儀制度
(3)ブライダル業界全体が単価アップの方針
(4)広告費用の問題
(1) 一般的に見て、超高額な中間マージンの存在。
結婚式の費用が高い理由の1つが、この中間マージンの存在です。
結婚式場は様々な業者と提携し、提携業者にお客様を紹介することにより、紹介料をもらうという仕組みになっています。
お客様から式場に商品が発注され、式場から各提携業者に依頼がいきます。
この時に紹介料として、約40%~50%が紹介料として式場に抜かれます。
さらに提携業者から各スタッフに依頼がいき、その時もさらに紹介料が抜かれてしまいます。
例えば映像商品の場合、当日の映像撮影を式場にお願いしたとしましょう。
式場での価格が20万円だった場合、そのうち10万円が式場が紹介料としてもらう金額になります。
そして残りの10万円のうち、ビデオ業者が50%~70%を紹介料として抜きます。
すると実際に撮影するスタッフは15000円~20000円くらい、安いところだと10000円前後で撮影することになります。
新郎新婦は20万円という高額な金額を支払ったにもかかわらず、実際に撮影するカメラマンは日給1万円のアルバイトということも珍しくありません。(ちなみに弊社代表も、最初この業界に入ったときは日給7000円でした)
ビデオだけではなく、写真や司会者、メイクや花、あらゆるものが同じような仕組みになっています。
・問題点
このような構造になっているビジネスは、ブライダル業界だけではないのかもしれません。
ただ、新郎新婦がどう思うかという点が大切だと思います。
高額な金額を払ったのに実は金額の半分以下の価値しかなかったら、誰でも不満になります。
そして、式場に自分たちが望む商品がなくて自分たちで作ったり、他のお店で買ったものを使おうとすると、高額な持ち込み料というものが発生してしまうシステムも、さらに新郎新婦にとっては納得のいかないことです。
カメラマンの場合は一人につき5万円、高いところだと10万円という式場も存在します。
根本からこの構造を変えていかなければ、ブライダル業界はこの先もずっとぼったくりだと思われてしまいます。
(2)ご祝儀制度
結婚式場の価格は、ご祝儀制度を前提にして設定されています。
ご祝儀の総額の平均は227万9000円。(リクルート ゼクシィ結婚トレンド調査)
結婚式の平均額が333万7000円なのでその差額は105万円です。
新郎新婦の7割が親から援助されており、その平均は157万7000円なので、招待客の人数によっては、新郎新婦はそれほど持ち出し金を払うことなく結婚式を挙げることができます。
通常の商売であれば、商品の質を良くしたり、別の付加価値を付けなければ高額な商品は売れませんが、ご祝儀制度を前提にしているブライダル業界は例外で、商品価値と値段がつり合っていなくても成り立ってしまうのです。
・問題点
今の若い人達にとってご祝儀制度の印象はあまり良くありません。
友人で3万円が平均のご祝儀は、月一件ならまだしも、複数の結婚式が重なると10万円近くになります。
格差が広がっていく社会で、若年層の収入は減ってきています。
結婚式を挙げる新郎新婦も、なるべく友人たちの結婚式にかぶらないようにするため、春や秋のハイシーズンの時期から少しずらしたりするカップルも増えてきています。
無理にご祝儀に合わせた金額に設定せずに、人それぞれの予算に合わせてた色々なプランが提案されるようになれば、結婚式はもっと挙げやすくなるかもしれないですね。
(3)ブライダル業界全体が単価アップの方針
ここ数年、「ナシ婚層をいかに取り込むか」、「少子高齢化社会の影響で減少していくカップルの数に対していかに売上を上げていくか」の二点が業界の課題としてよく取り上げられます。
ナシ婚層の取り込みのために、業界が打ち出したのが格安プランの提案。
そして、減少するカップルの中で売上を上げる方法として、客単価を上げることで組数の減少分を補うという方向で各企業は動き出しました。
今のブライダル業界は価格と商品価値がつり合っていない場合が多く、特に写真や映像商品はそれが顕著に表われています。
実際first filmに依頼してくださる新郎新婦のほとんどが式場の商品に対して疑問をもった方々です。
「無駄なお金を払う」ということに納得がいかないという新郎新婦の思いは私達も共感します。
・問題点
今、この単価をアップさせようとする各式場の弊害となっているのが、私たちのような外部の持ち込み業者です。
「商品の金額が高すぎる」「このサービスでこの値段は高すぎる!」という人が様々な商品を持ち込もうとする時代になりました。
ネットの普及、スマホの普及がどんどん進んでいますので、今後は持ち込みが当たり前になる時がくるでしょう。
しかし、そうなると式場はマージンの分の利益がなくなってしまいます。
結婚式場は持ち込みを禁止にしたりすることで目先の利益の確保に努めていますが、持ち込みを禁止にすることは、お客様の選択肢を狭め、ユーザーの声に反することになりますので、集客に影響が出始めるでしょう。
(4)広告費用の問題
大手結婚情報専門誌をはじめとする各広告媒体の広告費用は、相当な高額料金に設定されています。
結婚式場はWebサイトなどでの集客の方法についてわからない場合が多く、広告媒体に頼らざるを得ない状況なのです。
今の時代なら企業努力で広告費用は抑えられるのですが、まだまだ実際に行っているところは少ないです。
・問題点
広告費はどうやって回収するか?もちろん新郎新婦からになります。
膨大な広告費は客単価に反映されますので、各商品やサービスに上乗せされます。
そこで回収した金額がまた広告に使われるということになりますが、広告効果が落ちてきているので、どんどんマイナスになります。
2015年、上場企業は全社減益という状態になりました。
つまり、これは従来の広告が通じなくなったとも言えます。
2016年から各企業は、インターネットでの戦略をどうするかを考えるでしょう。
しかし、ノウハウがないので、外注せざるを得ない状態です。
しばらくは持ち込み禁止や客単価を上げて「目先の利益」を獲得していくしか方法がないように思われます。
まとめ
このように結婚式の価格は主に4つの理由から高価格に設定されています。
しかし、これらの理由に納得できる新郎新婦は少ないのではないでしょうか。
ナシ婚層の増加の原因は経済的な理由の他に、ブライダル業界に対するイメージの低下があります。
このようなことを繰り返していれば、ナシ婚層のさらなる増加につながります。
結婚式場と提携している業者も、今後はどんどんネットへ進出して直接顧客の獲得に乗り出すので、集客に成功している業者と提携する式場が増えてくるのではないかと予想します。
そうなれば式場はお客様を紹介してもらえるので、広告費などの新規の顧客獲得のために投資が減ります。
すると客単価は適正な価格となり、カップルがしっかりと納得し、より結婚式を挙げやすい環境に近づいていけるのではないでしょうか。
言うのは簡単ですが、first filmの目標はブライダル業界の改革にあります。
私達が目指す改革とは、お客様が適正な価格で、納得のいく結婚式を挙げることができるようにすることです。
もの凄く当たり前のことだと思う方がたくさんいらっしゃると思いますが、現在のブライダル業界は多くの式場ができていないのです。
結婚式で悲しむ方々が一人でも減り、一組でも多くの笑顔に出逢えるように、私達は今後も全力疾走です!!